2012年9月14日金曜日

ニューヨークのベーグル店 その1
トーフクリームチーズが絶品!
★ミューレイズベーグル★

今回は、ニューヨークのベーグル店についてご紹介したいと思います。

2年に1回くらいニューヨークにベーグルを食べに行くのですが、
私の一番のおすすめのベーグル専門店は、、

「Murrays Bagel  ミューレイズベーグル」
500 Avenue of the Americas, New York, NY 10011
TEL: 212.462.2830
FAX: 212.627.5054
http://www.murraysbagels.com/

です!!

このミューレイズベーグルは、ニューヨーク、マンハッタンのグリニッジビレッジというところにあります。

グリニッジビレッジは、
北は14丁目 (14th Street)、
南はハウストン通り (Houston Street)、
東はブロードウェイ
西はハドソン川に囲まれた地域。

五番街の南端に位置し、
セントラル・パークと並んで有名な公園である
ワシントン・スクエア・パーク、
大規模私立大学のニューヨーク大学 (NYU)、
ジャズで有名なヴィレッジ・ヴァンガードなどがある地域です。

そんなグリニッジビレッジの

14th Streetから、6Ave を南にトコトコ下っていくとMurrays Bagelsはあります。

青いテントが目印。
このミューレイズベーグルは、青がテーマカラーのお店です。



お店の中に入ると、奥のほうにベーグルを焼くオーブンが見えます。

ニューヨークのベーグル屋さんでのオーダーの仕方は、日本と全然違います。
若干慣れるまで時間がかかりますが、慣れると自分好みのサンドイッチがオーダーできるので楽しいですよ!

では、ベーグルのオーダー方法をご紹介

1. ベーグルの種類を決めます。
    ニューヨークは、日本のベーグル専門店ほど種類は多くないです。
    プレーン、全粒粉(ホールウィート)、
    マルチグレイン、ポンパニッケル(ライ麦)、
    シナモンレーズン、エブリシング 
    といったスタンダードなベーグル6~10種類くらいのお店が多いです。

2. ベーグルをトーストするか、そのまま食べるか伝えます。
   
3. 中にはさむ具を選びます。
   ここで、サンドイッチの具材や、クリームチーズなどの味等を知らないと、結構大変です。
   ●●クリームチーズに、○○をトッピングして。とか、、
   トーストして、バターだけ塗って。。とか、、
   レタスをはさんで、サーモンをのせて、クリームチーズは多めで、、
      とか結構ありとあらゆる要望を受けてくれます。


こんな感じでベーグルをオーダーします。
ベーグル自体は、1ドルしないのですが、サンドイッチにすると一気に値段がUP。


わたしは、結構食いしん坊なので、調子にのって、いろんな具をオーダーしちゃって、いつも9ドルとか10ドルを超えちゃう豪華サンドイッチになってしまうことが多いです。 汗


さて、なぜ、私がニューヨークのベーグルの中で、ミューレイズベーグルが一番と思う理由を述べさせてもらいます!

1. ベーグルの皮の硬さ
    ベーグルの皮がパリっとして固めなのがお気に入りです。

2. ベーグルのサイズ
     日本のベーグルに比べてNYのベーグルはとにかくサイズが大きいのですが
     その中でも結構ボリューミーなサイズなのです。

3. ベーグルの生地の食感
     NYのベーグルは、もっちり というより、ムギュっという食感が多いのですが、
     ミューレイズベーグルはムギュの中にもモッチリ感を感じられます。


ミューレイズベーグルは、ニューヨーク一人旅のときもフラリと立ち寄ってひとりでオーダーしてゆっくりと食べることができるので、おすすめですよ。

でも、クリームチーズは、少な目!!と言っておかないと、冗談のようにたっぷりクリームチーズが塗られた状態のサンドイッチがきちゃうので、日本人の方には、くどいかもしれないです。

そんなときは、トーフクリームチーズをオーダーするといいですよ。

トーフクリームチーズとは、その名の通り、豆腐入りクリームチーズです。
ニューヨークでは、豆腐=ヘルシーという強いイメージがあり、クリームチーズに豆腐を練りこんでつくった、トーフクリームチーズは、すでに定番クリームチーズとなっているのです。

ヘルシーというイメージ通り、トーフの入ったクリームチーズは通常のクリームチーズよりも、カロリーも少な目で、さらに、味も淡泊な豆腐のおかげで、クリームチーズなのにそんなにくどくなくて、とっても美味しいのです。
私はNYで、ベーグルにサンドイッチするクリームチーズをオーダーするときは、いつもトーフクリームチーズを頼んじゃいます。


ミューレイズベーグルでの、一番のお気に入りは、
マルチグレインベーグルをトーストして、トーフクリームチーズを挟むシンプルサンドイッチ
です!

Toasted Multigrain Bagel with Tofu cream cheese Please

って頼めばたぶん出てきます。


写真がその、おすすめのマルチグレインベーグルと、トーフクリームチーズのサンドイッチです。
こんなたっぷりクリームチーズをぬってくれます。


ニューヨークのグリニッジヴィレッジあたりに行かれる際は、ぜひぜひ、Murray's Bagels 行ってみてくださいー。



   

2012年9月12日水曜日

ベーグルの歴史 その2
★アメリカへ渡ったベーグル★


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ベーグルの歴史 その2


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★アメリカNYに渡ったベーグル★


さて、前回、ポーランドのユダヤ人が迫害をさけ

アメリカへと渡っていったところでお話は終わりました。




今回はその続きですー。




ポーランドをはじめとする東欧諸国から

アメリカへ渡ったユダヤ人の多くは、

東海岸のニューヨークマンハッタンの

ローワーイーストサイドという場所に定住し、

ユダヤ人コミュニティーを形成しました




もちろん移民としてアメリカにやってきたユダヤ人の中にも

祖国でパン職人だった人も大勢おり、

当時、ニューヨークでベーカリーを開店する費用は

比較的安かったため、1900年頃までには、

ユダヤ人の経営するベーカリーが約70軒くらい


ローワーイーストサイドで開店したと言われています。




このユダヤ人ベーカリーたちによって作られたベーグルは

ニューヨークのユダヤ人コミュニティーで多く消費

されはじめます。








当初のベーカリーの労働環境はと言えば、

作業場は大抵地下にあり、風通しが悪く、

更にベーグルを茹でる水で床はビチョビチョ、

カビなどが生えかなり不衛生な状態だったようです。




しかも、職人たちはベーカリーに住み込み。

作業場で寝起きし、労働時間は11314時間と長く、

休日もなかったとか。




今でもパン屋さんは重労働で、夏は窯の前はいくら

クーラーをつけていても温度が50度以上になって

しまい職人さんたちは汗だくで頑張っていますが

当時に比べれば、まだ全然ましなんだなあ。。と

実感してしまいます。




それにしても、休日もなく、作業場で寝起きだなんて

本当にかわいそうです!




1900年代初め、アメリカ各地では各界で、

労働環境の改善を求めて労働組合の結成が始まりました。




製パン業界も例外ではなく、

1937年にはニューヨークとニュージャージーの

ベーグル職人による「ローカル338」という組合が結成されました。




結果、ニューヨーク周辺ではこの組合に所属していないと

ベーグルが作れない、ということになり、

更に、新たに組合員になれるのは組合員の息子や親族に限る、

というきわめて閉鎖的な世界を、



なんと!!!1960年代半ばまで維持し続けたのです。




もちろん、ベーカリー界のオートメーション化自体は

1890年代に始まっていたのですが、この閉鎖的な組合が

機械の導入や組合員以外のベーカリーによるベーグルの

製造をことごとく阻止してきました。




この閉鎖的な組合のおかげで、長い間、ニューヨークの

ベーグルは、熟練した職人のハンドロールによって成形された

もののみ、、という時代が続いたのですね。




だからこそ、今でもニューヨークで機械生産のベーグルよりも

ハンドロールのベーグルのほうが人気なのだと思います。







ベーグルは最初、デリカテッセンや一般のパン屋への

卸売のみが行われており、客への直売はしていませんでした。




ハンドロールにこだわり、なかなか大量生産できなかった

ベーグルですが、釜(オーブン)に革命がおきます。




1960年代に、回転式のオーブンが開発され、

天板を入れ替える手間が省けたことにより

製造スピードが上がり、卸売だけではなく、焼き上げたベーグルを

店頭で直接販売するようになり

それによって、ユダヤ人以外のニューヨークの人々にも

ベーグルの存在が徐々に知られるようになったのです。





1962年には、材料を入れれば成形までしてくれる

ベーグル自動製造機が開発され、消費者が増えたベーグルは、

ニューヨーク近郊では機械で成形されるようになりました。





やがて、時代の流れには逆らえず、機械で成形された

ベーグルはニューヨークにも進出します。




また、ユダヤ人が比較的多い他の都市へ引っ越し、

そこで自分の店を持つという組合員も増え、

組合員数が激減した「ローカル338」はついに1971年、

解散へと追い込まれてしまいました。

組合に入っていなくてもニューヨークでベーグルが
作れるようになり、いまでもニューヨークには
いろんなベーグル専門店がいっぱいできました。


でも機械生産のベーグル専門店はあまりないですね。
やっぱり、昔から続いている伝統のハンドロールのベーグル
屋さんが非常に多いです。


やっぱり機械生産のベーグルは、きれいな輪っかに
なっているのですが、ハンドロールのベーグルの
つなぎ目がおいしいんですよね。

やっぱりハンドロールベーグルが断然おすすめです。



ちなみに、ベーグル自動製造機は日本にも少し入って
ただ、うちのお店には、ベーグル自動製造機はありませーん。

昔の、ニューヨークスタイルのまま、毎日毎日
ハンドロールでベーグルつくりに励んでおります。



ベーグルの歴史 その1
★ベーグルはポーランド生まれ★

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ベーグルの歴史 その1

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★ベーグルはポーランド生まれ★





今回は、ベーグルの歴史についてシリーズで書いていきたいと思います。

ベーグルの歴史ってあまり知られていない
と思うので、ちょこっと書いてみたいと思います、


ベーグルはユダヤ人のパンとして
ニューヨークでポピュラーである。


と言われています。


でも、そもそもベーグルはどこから
ニューヨークへやってきたのか、、、
今日はそんなお話でございます。


実は、ベーグルの発祥には、


ウィーン説
ポーランド説


など、幾つかの説があります。





『1683年の第二次ウィーン包囲において、
ウィーンをオスマントルコ軍から守った
ポーランド王ヤン3世の功績をたたえ、


ウィーンの
ユダヤ人パン屋があぶみ
をかたどったパンを献上したという
ウィーン説。


※あぶみとは。。。
馬に乗る者が足をかけて身体の安定を保つためのもので,
「あしふみ」からきた名称。
足を掛ける部分の輪をあぶみといいます。

しかし
それ以前の14世紀頃から、
ポーランド西部の都市クラクフでは



「オブバジャネック」


と呼ばれるリング型のパンが食べられていた
ということが文献にも残っているそうで、


このオブバジャネックを発祥とするのが、
ポーランド説です。



いずれにせよ、
ベーグルは、
ポーランド生まれと言われています。



16~18世紀のポーランドはヨーロッパ最大の国家であり、
ユダヤ教徒の人口もヨーロッパ最多でした。


そんなポーランドにおけるユダヤ文化の中で、
当時はまだ貴重だった白い小麦粉を使って作るので、
ベーグルはぜいたく品であり、
一生食べることに困りませんように、、という願いもこめて
出産祝いとしてプレゼントされることもあったようですよ♪



19世紀になるとベーグルは、家内工業として作られ、
女性によって市場で売られるようになり、
人々にとって身近な食べ物へと変化していきます。



19世紀後半にはポーランドの首都ワルシャワの
ユダヤ人人口が急増、全人口の3割を占めるようになり、
独特のユダヤ人コミュニティが形成されるようになったので
ベーグルもたくさん作られるようになったみたいです。


その後、20世紀に入ると、ポーランドにもアメリカからの
小麦の輸入が始まります。
この、輸入小麦のおかげで、ベーグルも安価に作れるようになり、

ベーグルはポーランドでは誰でも
買えるようになり、一般的なパンになっていきました。





しかしながら、ポーランドのユダヤ人にも
大変な時期が近づいてきました。


1880年代にロシアやポーランドといった東欧で始まった


ポグロム(ユダヤ人に対する集団的迫害行為)


により、ポーランドにいた多くのユダヤ人が、
イスラエルやアメリカへと渡ることになります。


それとともに、ベーグルも
アメリカへと海を渡ることになります。



ベーグルの歴史はまだまだつづきます・・・・・


その2 では、アメリカでベーグルがどのように広まったか、、
を書きたいと思いますー。


※参照 ベーグルマスターブック (柴田書店)
 ベーグルマスターブックでは、
 ベーグル屋エルクアトロギャッツもとりあげられていますー。